末永 徹 (2005/10/30)

  脅し、嘘をつき、媚びへつらい、

  自分に有利な事実を造り上げる処世の能力こそが、

  世の中を支配する本当の力である。

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  優等生の主人公は、

  会社の中でこそ、やりてのセールスマンだが、

  事実を捏造する本当の力の前には、

  全く無力であった。

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  私が日本政府に求めていたのは、

  安定した生活ではない。

  国家の運命を担うという焼けつくような緊張感だ。

  現実の日本政府の職員よりも

  ここにいるアウトローの方が

  そのイメージに近い気がした。

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  物事を正確に判断しようとする時に、

  一番邪魔になるのが、

  抑圧された心理状態である。

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  ソロモンに限ったことではないが、

  大切な情報は公表されずに

  権力者から口伝によって広まっていく。

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  オプション理論はまさに

  ソロモンのために開発されたような理論であった。

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  世界の真理を顕かにして

  社会の利益に奉仕するというより、

  秘匿する者が取引相手から利益を得るために使ってこそ

  威力を発揮する方程式であった。

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  競争は、

  真に価値を創造する者を炙り出す。

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  真理を見抜く力は必要ない。

  およそ金を儲けようとしている人間が考えることは何か、

  見当がつくようになればよい。

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  株式市場に群がる無数の欲張りの中から、

  自分より軽率で意志の弱い人間を見つけて

  儲けることはできそうな気がして来た。

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  毒気のある優秀な人材が目に見えて流出し始めた。

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  才気走った個性派が締め出され、

  上司の顔色を窺うことに長け、

  若手から茶坊主と陰口を叩かれるような人間ばかりが

  出世するようになった。

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  トレーダーという名の博徒の群れである。

  博徒は、

  自分より博打の腕がいいと認めた者の言うことにしか

  耳を貸さない。

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  成功の体験は、何よりも人を勇敢にする。